こぎくや便り

着物と、暮らしと、時々バイク。日常の好きなことを綴ってまいります。

『一汁一菜でよいという提案』

みなさまこんにちは。

こぎくでございます。

 

前回の記事から一気に季節が進みましたね。街のあちこちに金木犀の甘い香りが満ちる、大好きな秋。

先月から今月にかけて、心がざわざわする事が続いて、落ち着かずにいたのですが、この香りをかぐと、気持ちもふっと和らいで、穏やかになりました。金木犀の薬膳効能ですね。

 

この方の声を聴くと、同じように気持ちがほぐれるように思うのですが、そう感じられている人は私だけではないのでは。

 

土井善晴先生。

 

テレビ番組にも多く出演されていて、ご著書も多く、ご活躍の先生。

食べることが好きな私は、お料理番組で拝見することが多いですが、食材や調理法をご説明下さるお声も、言葉遣いもやわらかく、アシスタントさんとの掛け合いの軽妙さ、そしてもちろん、ご紹介下さるお料理の美味しそうなこと!どこをとっても心なごむあったかい気持ちになります。ほんとに大好きです。

 

先日、土井先生が出版されたご本。

『一汁一菜でよいという提案』

 

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今は、献立の基本として「一汁三菜」と言われることが増えていますが、そうではなく、「一汁一菜」。

普段から「お魚かお肉の主菜一品に、野菜のお菜二品、お味噌汁」という献立を考えていらっしゃる方も多いと思います。私自身もそうでした。身体を健康に維持するためには、一汁三菜を食べていろんな栄養を摂らなくては、と思っていました。

とはいえ、毎日のご飯に一汁三菜を出すのは、しんどいこともありますよね。

実は、少し前からまた平日会社勤めに出ており、毎晩のご飯とお弁当作りが少し負担になってきていました。

そこに先生の「一汁一菜でよい」という言葉。

 

なんですとー⁉

お味噌汁とお菜一品で良いの?

しかも、お菜は「香の物」というのですから驚きました。

 

そんな時に、ご著書の発売記念トークショーが開催されると聞き、飛びつくように申し込み。そして先週末、いよいよその日が!!( *´艸`)

 

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会場となったルクアイーレの蔦屋書店さん。

店員さんが椅子を並べて下さっています。

 

手織り工房でお世話になっているショーコさんと、早くから列に並んでドキドキ。途中からお着物友達のニッターMさんも加わり、わぁわぁ言いながらその時を待っておりましたら、なんと、早めに会場にいらした土井先生が、「お着物でいらして下さって」とお声を掛けて下さいましたーッ(*´▽`*)♡

 

先生のお話は、もちろん「一汁一菜」について。

いつもの優しい大阪弁で、しかし熱く語って下さり、一つひとつが心に沁みて、腑に落ちていくことばかり。しかも、お料理のことだけではなく、様々なことを深く学んいらしたようで、話題の幅が広く、また深く、お話が進むにつれてどんどん引き込まれていきました。ご飯のことから器、お膳について、「ハレとケ」のこと、「きれい」という言葉の意味。『30品目食べないとダメと言われていますが?』という質問へのお答えにも、深く頷いておりました。

そして、「ここぞという時に着物を着たり」という言葉もちらっと(ハレとケの例ですね)。この時は本当に心が躍りました!!はい、まさにこの日は「ここぞの着物」の気持ちで参加していたのですー(*≧∀≦*)♡

 

お話会が終わったら、希望者全員にサインと写真撮影を。

この日は定員80名が満席で、全員がご希望でしたから、大変な作業だったと思いますが、最後まで笑顔を絶やさず、全ての方にお声を掛けて下さっていました。

 

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せっかく土井先生に直接お会いできるのですから、ここぞのおめかし着物♡

当日朝起きたら、合わせるつもりだった帯に大変なことが起こっていて(この話はいずれどこかで)、急遽違う帯を合わせたら春っぽい色合わせ...せめても、と、帯揚帯締めを秋色に。

そして「ここぞの秋刀魚帯」でいらした琴さん!!もちろんご自身の作です!

 

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大根おろしに見立てた帯留に、根付はなんとお醤油♪素敵すぎー(๑˃̵ᴗ˂̵)

 

帰りにはショーコさんと興奮を冷ますべくお茶していたのですが、逆に盛り上がり過ぎて全く冷めず(苦笑)

サインして頂いたご著書は、毎晩少しずつ、先生の柔らかな口調を思い浮かべながら、大事に、大事に読ませて頂きました。

 

『お粥さん』の記事を書いた時にも思ってのですが、身体を作る=たくさんのお菜を食べる、ではないのだなぁと、あらためて分かりました。もちろん、日頃から身体を動かす人や、激しい運動をされる人には、たくさんのお菜や量が必要だと思いますが、そういう状況にない私には、自分の身体に合った食材を使った「一汁一菜」がちょうど良いのだと思います。

それに、一汁三菜って、もとはお武家様の本膳料理や、茶席の懐石料理から来ている言葉でしたよね。それを毎日の食卓に取り入れる必要はないなぁと。

みなさまにもぜひお手に取って、読んでほしいご本でした。(装丁にも素敵な意味がありました♡)

 

夜、仕事から帰ってきた夫(もうすぐ50歳@骨折中)にその日の話をして、「これからは我が家も一汁一菜でいいね〜」と言ったら、白目になって死んだふり。。。

幾つになっても食べ盛りの育ち盛り。

まぁ、働き盛りでもありますからね。少しずつ、内容を変えていって、気付いたら一汁一菜になっていた、というのが良いかもしれません。

秋といえば金木犀と並んで新米の季節でもあります。優しい香りと、美味しいご飯で、穏やかな心と身体を育んでまいりましょ。

 

こぎく